定例会ご案内と報告





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小金井・まちづくりの会  5月臨時定例会報告                               (土肥英生)

地域に根ざしたまちづくり〜三鷹市まちづくり条例について
                             
三鷹市都市整備部都市計画課 角間 裕
 
角間 裕さん


1. 三鷹市まちづくり条例の背景
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■小金井市と同じ住宅都市として性格を持つ三鷹市
・他の多摩地域の都市と比較すると、三鷹市は住宅都市としての性格が強く、その意味で、
 小金井市とは、似た性格を持つ都市である。
・このような観点から、三鷹市では、住宅都市としての、『住環境の充実化』をまちづくり
 の基本と考えており、『緑と水の公園都市』・・・公園的な空間として都市が存在するよ
 うな、人にも環境にも優しい快適環境都市を目指している。
・まちづくり条例はこのような、住宅都市としての居住環境の維持や改善を目指すことを目
 的としている。

■まちづくり条例から都市計画マスタープランへ
・三鷹市の都市計画マスタープランは、平成8年4月1日に、まちづくり条例ができたこと
 踏まえ、策定されたもの(旧まちづくり条例の第10条、第11条に規定)で、小金井市が、
 都市計画マスタープランを作ってから、まちづくり条例に着手する手順とは、ちょうど逆
 の手順での取組みとなっている。
・土地利用総合計画は、アンケート調査と、市内各住区や町会、商工会等を対象とした「ま
 ちづくり懇談会」(総計810人の参加)など踏まえ、市民の意見を取り入れて策定され
 た。

■土地利用総合計画は、『都市計画マスタープラン』と『住区ごとのまちづくり方針』の二
 本立て
・三鷹市では、中学校区をベースに7つの地域に分けて、住民協議会を設けており、コミュ
 ニティセンターを中心に、住民協議組織が立ち上がっている。このように地域別のまちづ
 くりの検討にあたっての母体が、三鷹市では既にあることも小金井市とは違うところ。
・三鷹市土地利用総合計画は、三鷹市全体の都市計画の基本方針を示す『第1編 都市計画
 マスタープラン』と、7地域毎のまちづくりの基本的方針を示した『第2編 住区ごとの
 まちづくり方針』の二つのセクションから構成されている。小金井市の都市計画マスター
 プランとは、構成自体が違っている。


2. 旧まちづくり条例の策定に至った理由と構成 
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2-1.旧まちづくり条例制定のきっかけ
 ・三鷹駅の南側には、旧中島飛行機に関連する工場などがマンションへとどんどん建て変
  わり、その結果、隣接する住宅地との紛争が、しばしば生じていた。このような急激な
  土地利用転換に対応するための仕組みとして、まちづくり条例の制定を考えた。
 ・成長管理的な視点にたった条例と言える。

2-2.制定の目的と運用実績

■地区計画、建築協定の活用
・地区計画や建築協定を活用し、街づくり計画を作り、快適で質の高い住環境の形成を目指
 そうと考えたが、具体化できる事例ができなかった。

■まちづくり推進地区
・このため、地区計画の簡易版として、まちづくり推進地区制度を打ち出した。
・まちづくり推進地区は、土地利用転換の可能性の高い地区、そして、住民要望のある地区
 、11地区を都市マスの中で候補地区として指定した。
 (まちづくり推進地区では、まちづくり推進地区整備方針として、地区のまちづくりの目
  標や、公共施設の整備に関する方針を定めることとしている。)
・また、関連して地区まちづくり推進団体を指定できるものとした。(指定された団体に対
 しては、活動費助成や、要請に応じて職員派遣が行われる)
・現時点(平成14年5月時点)では、野崎西地域が、まちづくり推進地区として指定され、
 まちづくりの検討が進んでいる。(三鷹駅周辺地域も候補地区として指定されたが、商業
 者の賛同が得られず、検討をする段階に至っていない)また、野崎西地域以外にも、準備
 会的な組織が発足している地区が、二地区(大沢、三鷹台)あるが、必ずしも、順調に検
 討が進んでいる状況ではない。

<参考:旧まちづくり条例の構成>
 (目 次)
     第1章 総則(第1条−第9条)
     第2章 土地利用総合計画(第10条−第16条)
     第3章 地区計画等の案の作成手続(第17条−第20条)
     第4章 建築協定(第21条−第23条)
     第5章 開発事業(第24条−第31条)
     第6章 まちづくり推進委員会(第32条)
     第7章 助成等(第33条−第35条)
     第8章 雑則(第36条・第37条)
     附則


3. 新たなまちづくり条例の策定に至った理由と変更の要点
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3-1.条例改正の背景及び理由
■「三鷹市環境基本条例」が平成12年4月1日から施行され、これに基づき、まちづくりの
 中で「環境配慮制度」を導入する必要があること。
■「大規模小売店舗立地法」平成12年6月1日から施行され、出店手続きとまちづくり条例
 に基づく開発事業の手続きとの整合を図るとともに、新たに制度化する「環境配慮制度」
 との連携を図る必要があること。
■まちづくり条例により、開発事業者に係る手続を明確化するとともに、開発事業者との十
 分な協議を確保する必要があること。

・平成8年からまちづくり条例を活用し、一定開発規模以上で開発事業の事前相談を行って
 いた。
 ○3000・以上
 ○31m以上の中高層建築物(概ね10F以上の建築物に相当)
 ○市長が必要と認めたもの
・年間、2〜3件程度がこの制度に基づき、事前相談が行われてきた。
・しかし、大店法にギリギリにかからない規模(1000・未満)の商業店鋪の立地が、東八道
 路沿道で進み、これが大きな問題となった。
・平成12年6月1日から施行された「大規模小売店舗立地法」では、駐車場の規定台数など
 がクリアされれば、立地を食い止めることができない。
・実際に、深夜営業を行う商業施設の立地が問題になり、周辺環境に与える影響を総合的な
 評価を行い、事前相談を行うことが必要であった。
・そこで、「環境配慮制度」を作りこれとまちづくり条例を連動させようと発想がうまれた。
・「環境配慮制度」とは、環境に著しい影響を及ぼす恐れのある大規模な事業に対して、事
 業者が適切な対策をとるように誘導することにより、環境への負担を低減し、安全で快適
 な環境の実現をはかることを目的とするものである。
・当初は、環境基本条例内に「環境配慮制度」を作り、これを一体のものとして運用してい
 こうという考え方もあったが、実際の現場で活用するため、担当部局で具体の『環境配慮
 制度』検討を行う必要があるということになった。(環境部局と都市部局との協議の中で)
・三鷹市環境基本条例(平成12年4月1日施行)第14条に、「市長は、環境に著しい影響を
 及ぼすおそれのある事業について、当該事業の実施が及ぼす影響を事業者に事前に調査し、
 環境保全のための対策がなされたものとなるよう必要な措置を講じるものとする。」とい
 う規定を入れ、これを受けて、まちづくり条例を改正し、「環境配慮制度」を作った。


■都市計画法の一部改正(平成12年5月19日公布)により、地区計画等に関する住民参加手
 続を条例で規定し、市民の発意で地区計画等の策定を求めることが可能となったこと。
■まちづくり条例に基づき指定する「まちづくり推進地区」におけるまちづくりと開発事業
 との連携を図る必要があること。

・また、都市計画法の改正を踏まえ、まちづくり推進地区の指定方法(従来は、市長が指定
 したが、市民からの申し出による指定を可能にするなど)を改正するなどを行った。

3-2.条例改正の主な内容

■開発事業において「環境配慮制度」を導入する。

・基本的な考え方としては、環境配慮指針(最低限守るべき基準と、配慮すべき事項)を市
 長が提示し、これに基づき、大規模な開発行為などについては、「環境配慮計画書」の作
 成を求めることとなっている。また、この「環境配慮計画書」の内容を開発事業者が近隣
 関係住民に周知することなっている。
・これまでの事前相談に要する期間はケースバイケースであるが、概ね2〜5ヶ月。
・「環境配慮制度」の概要は
   http://www.city.mitaka.tokyo.jp/machizukuri.old/page4.htmlを参照。

(質議)

・建築家の側から見ると、環境配慮指針のどの部分にどこの基準を援用しているのか、どこ
 が三鷹市独自の基準になっているのが解ると、関係部局巡りをする形にならず、建築計画
 をスムーズに作ることができる。
・既存の基準との重複を避けるように既往の基準を寄せ集めており、三鷹市独自の基準とし
 ては、駐車場の設置基準、緑化の「緑と水の回遊ルート」などが含まれている。
・環境配慮指針でガチガチに守るべき基準を示されると、開発者側はこの基準さえ守れば、
 何をやっても良いという、逆の発想が生まれてしまうことも考えられる。むしろ、このよ
 うな方向でまちづくりが必要であると誘導するような取組みが大切ではないか。
・「環境配慮計画書」の中には、緑と水の公園都市を基本理念として、以下の5つのテーマ
 に対応した提案を書き込むようになっている。
 ○緑や水などの自然環境と利便性が調和する質の高い都市
 ○開放された都市空間が市民の「共有財産」となっている都市
 ○郷土の歴史を大切にし新たな文化を創造する都市
 ○安全で安心できる生活空間の中で市民がふれあいをもって活動する都市
 ○清潔で美しい環境が維持され市民がいきいきと生活する都市
・また、具体的には、「緑と水の回遊ルート整備計画」に定める「回遊ルート」沿道におい
 て、より一層の緑化を行う旨の規定をしている。

■まちづくり条例作成の進め方について

・都市計画マスタープラン策定に委員として参画したが、都市マス策定の本来
 の目的を踏まえるならば、まちづくりの理念を議論し、そこから、まちづく
 りのあり方を考えるべきところを、再開発などの既往の計画を後押しするよ
 うな記述を、きちんとした議論をしない内に、書き込まれ、結果的に不満の
 残るマスタープランとなってしまった。
・まちづくり条例の策定にあたっては、そのようなことの無いよう、策定の進
 め方について市民と行政の間で十分な合意形成を行うが必要と考える。
・実際、市との協議の中では、起草者に市民も加えることについては合意形成
 している。
・その意味で、三鷹市の場合、本来のプロセスに則った取組みなのだと思う。


■他の条例との関係について

(環境基本条例との関係)
・小金井市では環境基本条例の策定を現在進めているが、『環境配慮制度』に
 つながる記述を入れ込むように働きかけをしていかなくてはならない。
・環境基本条例の方が、まちづくり条例に先行して策定されるので、急がなく
 てはならない。

(市民参加条例との関係)
・市民参加条例については、小金井市市民参加条例策定委員会が既にスタート
 し、計8回の委員会が開催されている。
・市民参加の手続きやあり方を考える上でも、行政が市民参加にどういう姿勢
 で取組んでいるかを知ることが必要と考え、小金井市職員へのアンケートと
 ヒアリングを行った。その結果については、取りまとめ中である。
・市民参加条例については、委員長より、骨格について提案を受けており、
 (http://members.jcom.home.ne.jp/0713499601/tougikossi.htm
 細かい内容については、今夏には起草する市民を選び、その市民が起草をし、

 今年12月までに市長に、答申をする予定となっている。
・市長に答申した後に、みたか市民プラン21にような行政とキャッチボール
 を考えているのか。
・委員会の議論だけでは市民の意見を十分に取り入れられないので、素案がで
 きた段階で様々な市民の意見を出し合うことのできる機会を設けたいと考え
 ている。また、答申した後、行政の修正に対してフィードバックがかけられ
 るような手続きがとれるように働きかけていきたい。


■中高層建築物等に関する指導要綱及び開発行為に関する指導要綱の手続き規定を条例に盛
 り込む。
・事前協議の対象範囲を拡大する、標識の設置、説明会の実施等を義務づけるなど、指導要
 綱を条例に取り込んだ。

■開発事業について市民の意見を述べる機会を確保する。
・当該開発事業により影響を受ける市民は、開発事業の内容について、市長に意見書を提出
 することができるようにするなど、開発事業に対して市民が意見を述べる機会を確保でき
 るようにした。

■環境配慮計画書等を調査審議するため、市長の付属機関として「三鷹市環境配慮審査会」
 を置く。
・環境配慮計画書の審査に関し、その公平性を保つため、専門家3名(建築、環境、法律)
 による構成される審査機関(「三鷹市環境配慮審査会」)の意見を聴き、審査結果を事業
 結果を事業者に通知し、公表することとした。

■勧告、公表等を強化する。
・事前協議を機能させるため、勧告の対象となるケースを明記するとともに、開発事業者に
 対し必要な報告を求め、また市職員に立ち入り調査をさせることができるようにするなど、
 勧告、公表等の仕組みを強化した。

■地区計画等に関する住民参加手続き規定を追加する。
・市民の発意で、地区計画等の決定、変更、案となるべき事項を申し出る方法を定めること
 できるようにするなどの規定を追加した。

■「まちづくり推進地区」における「まちづくり協定」の締結と、これに基づく開発事業に
 対する指導・助言を盛り込む。
・市民は、まちづくり推進地区の指定を市長に申し出ることができるようにするとともに、
 市長とまちづくり推進団体は、区域を定めて、まちづくりに関する協定(「まちづくり協
 定」)を締結し、まちづくり協定に係る区域内での開発事業が、まちづくり協定の内容を
 遵守することを義務づけるなどの規定を追加した。

<参考:新まちづくり条例の構成>
目次
第1章 総則(第1条−第9条)
第2章 土地利用総合計画(第10条−第16条の2)
第3章 地区計画等の案の作成手続(第17条−第20条)
第4章 建築協定(第21条−第23条)
第5章 開発事業(第24条−第44条)
第6章 まちづくり推進委員会(第45条)
第7章 助成等(第46条−第48条)
第8章 雑則(第49条・第50条)
附則


4. 今後の課題
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・今回のまちづくり条例の改正を受けて、今後、都市計画マスタープランの改正を進める予
 定である。今回の環境配慮指針では、7地域統一のルールを定めたが、今後、地域独自の
 ルールづくりに進んでいくことが必要ではないか。このため、都市計画マスタープランの
 改定では「住区ごとのまちづくり方針」の充実化を図り、地域毎のルールづくりまででき
 るようなものにする必要があるのではないか。
・また、環境配慮制度により、最低限のルールを守らせるだけでなく、望ましい方向にまち
 づくりを誘導するアメも必要と考えており、表彰制度なども検討していくことも一案と思
 っている。

・三鷹市の市民参加型のまちづくりは、評判が高いものの、実態的には広く市民の参加を呼
 びおこすまでに至っていない。実際、大沢で地元との勉強会を行っていても、参加される
 メンバーが限られているなど、広く市民へアウトリーチすることの必要性を感じている。


5.小金井市におけるまちづくり条例について質議
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・以下は、環境基本条例や市民参加条例の検討に参加している出席者による、
 意見を中心に、小金井市におけるまちづくり条例検討の進め方についての
 質議をまとめたものである。

■まちづくり条例作成の進め方について

(都市計画マスタープラン策定プロセスでの反省を踏まえた取組みが必要)
・都市計画マスタープラン策定に委員として参画したが、都市マス策定の本来
 の目的を踏まえるならば、まちづくりの理念を議論し、そこから、まちづく
 りのあり方を考えるべきところを、再開発などの既往の計画を後押しするよ
 うな記述を、きちんとした議論をしない内に、書き込まれ、結果的に不満の
 残るマスタープランとなってしまった。
・まちづくり条例の策定にあたっては、そのようなことの無いよう、策定の進
 め方について市民と行政の間で十分な合意形成を行うが必要と考える。
・実際、市との協議の中では、起草者に市民も加えることについては合意形成
 している。
・その意味で、三鷹市の場合、本来のプロセスに則った取組みなのだと思う。

(小金井市のまちづくり条例への取組み状況)
・まちづくり条例については、2カ年に渡って検討を行うこととしており、本
 年度検討のための予算が確保されている。
・側聞したところによると、6/29にまちづくり条例の検討会が開催されるそう
 で、(6/20の市報に掲載される予定)今回、参加された方には、是非参加頂
 きたい。


■他の条例との関係について

(環境基本条例との関係)
・小金井市では環境基本条例の策定を現在進めているが、『環境配慮制度』に
 つながる記述を入れ込むように働きかけをしていかなくてはならない。
・環境基本条例の方が、まちづくり条例に先行して策定されるので、急がなく
 てはならない。

(市民参加条例との関係)
・市民参加条例については、小金井市市民参加条例策定委員会が既にスタート
 し、計8回の委員会が開催されている。
・市民参加の手続きやあり方を考える上でも、行政が市民参加にどういう姿勢
 で取組んでいるかを知ることが必要と考え、小金井市職員へのアンケートと
 ヒアリングを行った。その結果については、取りまとめ中である。
・市民参加条例については、委員長より、骨格について提案を受けており、
 (http://members.jcom.home.ne.jp/0713499601/tougikossi.htm
 細かい内容については、今夏には起草する市民を選び、その市民が起草をし、
 今年12月までに市長に、答申をする予定となっている。
・委員会の議論だけでは市民の意見を十分に取り入れられないので、素案がで
 きた段階で様々な市民の意見を出し合うことのできる機会を設けたいと考え
 ている。また、答申した後、行政の修正に対してフィードバックがかけられ
 るような手続きがとれるように働きかけていきたい。


                                                    
(以  上)

   

5月臨時定例会の模様  小金井第一小学校会議室にてH.14年5月25日(土)14:00〜17:00   写真/梅澤
                                                       
小金井・まちづくりの会  5月定例会報告                                 (土肥英生)


       ☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆ ヤドカリデリ 体験記 ☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆

                    〜コミュニティカフェを体験する〜


日時:5月11日(土)16:00〜18:10  場所:ヤドカリデリ

   
◇ヤシマさんとフジイさんの話し
 
〜なぜ、ヤドカリズムか〜
・元々、WWB(Women's World Banking)/ジャパン 市民事業ビジネス
 スクール(コミュニティビジネスの研修会)で出会ったメンバー(ヤシ
 マさんとフジイさん)で、オーガニックな素材を使ったケータリングサ
 ービスをしたいと考えていた。その時に、『ヤドカリ』は、体のサイズ
 に併せて宿を換えながら成長していくことから、宿を借りることが弱み
 ではなく強みとして捉えられること、デリバリーサービスのイメージに
 もあることもあって、『ヤドカリ』という言葉を使いたいなと考えてい
 た時に、ヤドカリズムという言葉を発想した。


〜スローフードについて〜
§§スローフード協会*1)と係る契機§§
・ヤシマさんもフジイさんも、オーガニックな素材に係ることは続けてい
 て、その関係から、たまたまスローフード協会の活動に触れる機会があ
 った。
・当時、ヤドカリズムでケータリングサービスを立ち上げようとしている
 同時期に、スローフード協会の支部を立ち上げようという動きがあった。
・ヤドカリズムでやろうしている試みは、『スローフード協会』の目指す
 方向ともあっているので、支部になったらということで、2001年12月
 に、イタリアの国際的なNPO組織 『スローフード協会』の支部として
 活動を始めることとなった。
・不思議な縁だった。
・具体的には、全く同じレシピで違う小麦粉で作ったケーキを食べる『ブ
 ラインドテスト』等をやっている。見た目には同じような小麦粉でも全
 然違う味になる。美味しいという体験を通じてそのようなことに気がつ
 く機会にでもなれば、という考え方である。(月一回会合を行っている)


§§スローフードとは何か§§
・スローフードはファストフードに反対する運動ではない。
・スローフード運動とは、人と人、人と自然などの関係性を問い直し「食
 べるとは生きること」ということを意識し活動することである。
・オーガニックを使うのは単にそれがおいしいからで、
 オーガニックであれば全てよしということではない。
・オーガニックの世界はけっこう狭くて、とかく、頭の情報だけで食を選
 びがちだが、もう一度、食の原点である味覚に立ち戻ろうとしている。
・そのようなところから、スローフード運動とは、食べ物を通じて、生活
 の質を問い直す活動と考えている。地域の食材を食べ、そして、食材を
 作る人やそのような食材を流通させる人などとのネットワークを通じて、
 自分達の生活を問い直す機会を作る活動と考えている。

*)スローフード宣言 〜快楽の保持と権利のための国際運動〜については、
 yadocarismホームページhttp://www1.ttcn.ne.jp/~yadocarism/
 に載っています。
 

§§ヤドカリズムという形について§§
・私達(ヤドカリズムのメンバー)は、これが正しいということを押し付
 けるつもりはない。
・オーガニックな食材に係っていると、どの先生の流派では、これが良い
 という感じで、オーガニックな食材で作られた食事を食べた時に『不味
 い』と正直に言えないような雰囲気がある。
・実際に、食べてみた時に、これを「美味しい」と言えるのか、そして、
 自分にとっては「美味しい」と感じられないものを食べ続けることが、
 良いことと言えるのかという気持ちを持たないではいられなかった。
・何か、ことを始める時に集団を作ると良く、意見を言う時に、無意識に
 『同意』を求める、ようなことになりがちである。
・『同意』を求める圧力の中で、異論を許さないような環境になる。その
 ようなことは、ヤドカリズムの発想にはない。
・ヤドカリズムでは、オーガニックな食材が良い、オーガニックな食材を
 使っていることを『売り』にするつもりはない。
・自分達が美味しいものを食べたい、という所から始めて、その美味しい
 ものがオーガニックな素材を使ったものである、という考え方にたって
 いる。


〜ヤドカリズムの活動について〜

§§小金井にこだわる理由§§

・ケータリングサービスをするのなら、都心の方が良いと言われる。しか
 し、私達は小金井にこだわっている。

・ヤシマさんの出身は函館で、ここは喫茶店がい。必ず、行きつけのお店
 が何店かあり、そのときの自分のシチュエーション、気分で使い分けて
 いた。
・生活をする街の中に、そういうちょっと息抜けるところ、面白いところ
 、道草できる場があると生活の質が豊かになる。
・ヤシマさんは、昔、横浜市某区に住んでいたが、そこは、丘陵部を切り
 崩して、新しい街を作った所で、昼間、街を歩いていても、人がほとん
 ど居ない。そして、夜になると塾の送り迎えで駅が自家用車で大混雑す
 るというところで、街に道草できるところはなく、ここには
 住み続けることはできないと感じた。
・小金井に移ってきて、こんな街が残されていたのか、道草のできる街で
 『ほっと』する思いを感じた。
・住む場所と仕事をする場所が分離し過ぎているのが現代と思う。
 生活する場所(小金井)で仕事をしたかったのが小金井でやる理由。


§§なぜ、ショップを構えたのか§§

・ケータリングサービスの許可を得るには、仕込み場所を確保する必要が
 ある。ヤドカリズムのコンセプトである、ケータリングサービスを実現
 するためにも、仕込み場所を確保する必要があり、その場所を探してい
 た。
・ヤドカリデリが実現できたのも、やりたいことを「やりたい」といろい
 ろなところでいろんな人に云い続け、次第に理解してくれたり支援して
 くれる人が増えていった結果である。新小金井駅近くにショップを持つ
 ことになったのは、偶然の機会からで、このようなことをやりたい、と
 言っている内に、ネットワークが繋がり、格安で貸してくれる場所が見
 つかった。
・ヤドカリズムを始めるにあたっては、様々な人の支援があった。その支
 援なしには、ヤドカリズムが実現していない。


§§将来的には・・・§§

・現在、一日34,700円の売り上げ(月平均24日稼動)すれば、四名のメ
 ンバーでやっていくことができるという計算をしている。
・1、2年はペイは十分に払えないという話しはしている。
・現在は、3名で始めるつもりで、2名しか居ないため、大変なオーバー
 ワークとなっている。(近々、1名参加する予定)
・開店以来(4月5日)、平日も休日もなしで、一日十数時間働いているよ
 うな状況。
・新たなメンバーが加わって、少し落ち着くことを期待している。
・飲食店や製菓の許可もとっているので、将来的には、様々な展開が考え
 られると思っている。



◇食事をしながら


§§頂いた食事と飲み物は・・・§§

・ペルー産のコーヒー
 (焙煎は質屋坂下の「ろばや」)
・トルティージャ
 ベトナム産の塩を使用、ルッコラをはさんだキッシュ(卵焼き) 
 (ルッコラは、ヤドカリさんの庭で作った自家製)
・おにぎり
 お米は山形県の「沢の花」を使用。これは、日本に昔からある種類。
 こんぶ、お酒、プロセスチーズをまぜたごはんをおにぎりにした。
・ベジローフ
 半分が野菜でできているミートローフ(看板商品と言っていました、
 大変美味しかった〜)
・マメのトマト煮


§§オーガニック系のお店、生産者§§

・今日飲んだコーヒーはペルー産で、焙煎は質屋坂下の「ろばや」
 (有機栽培された珈琲豆専門の自家焙煎店)で行ったもの。ここは、オー
 ガニック系の流通業である「ポラン広場」などから、仕入れている。
・有機野菜は「苫屋」(ポラン広場の八百屋)や「グリーンハウス」
 (東都生協のアンテナショップ)で売っている。梶野町の大堀ゆりこさん
 が作っている。
 三鷹の吉田農園では人見街道沿いのコインロッカーのような自動販売機で
 有機野菜の販売をしている。(現在は、お休み中とのこと)
・ジブリの隣のカフェ・レストランでは、その吉田農園の野菜を使った食材
 を提供している。


§§オーガニックな素材と美味しいの関係・・・§§

・三鷹市では、地場野菜が給食に出るようなシステムがある。(地場の野菜
 を全小学校に供給するシステム)
・三鷹の商店の人がネットワークを組み、プレハブの店舗をつくり、市民が
 生協のように、地場野菜を注文できる仕組みを作っている。
・また、人見街道沿いには、地元の農家が、コインロッカーのような自動販
 売機で、有機野菜(後で確認したところ、無農薬野菜)を売っている。


§§オーガニックな素材と美味しいの関係・・・§§

・生活者クラブでは、農産物の残留農薬の問題などの勉強を通じて、オーガ
 ニックな素材を手に入れようと、生産者との関係を築いてきた。
・そのような目から見ると、美味しいというところからアプローチをすると
 いうのは、新鮮に感じる。
・生産者との関係では、例えば、有機米を食べるために、生産者と委託契約
 を結んで、始めの2、3年は地力が化学肥料のために落ちていたために、
 こんなに不味い米を食べなくてはならないのか、という思いで、それでも、
 食べ続けて、4、5年してようやく美味しい米が食べられるようになった。
・消費者が生産者を育てることも大切である。


§§団塊世代と団塊ジュニア・・・§§

・オーガニック素材というのは、反戦に代表される団塊の世代が、大きな旗
 として、使ったテーマで、それが結果的に派閥的になって融通がきかない
 ということは理解できる。
・一方で、団塊ジュニアである、ヤシマさんなどは、そのようなスローガン
 を通じた取組みに対して、抵抗感が強くあるという印象を受けた。*2)
・目指す方向は似ているのだが、進め方に大きな違いがあるなと感じる。
・団塊の世代から言わせれば、主張をするということは、必ずしも、意見を
 押し付けていることにはならない。主張をする中から、共感をする人も出
 てくるので、余り、主張しない、ということにこだわるとかえって、せせ
 こましくなると思う。


§§まち会では・・・§§

・小金井・まちづくりの会では、去年の農業祭の時期に、無人販売スタンド
 を巡り、買ってきた食材を食べ比べたことがある。この時は、同じダイコ
 ンでも、全然味が違うということに驚いた。
・去年のような取組みを『ヤドカリズム』と共同プロジェクトとして行い、
 食材のブラインドテストと併せて、食材を使った料理を食べくらべるなど
 も面白いイベントになるのではないか。
・季節毎に、食材を変えてイベントをやることも面白いかもしれない。
・(まち会のカフェがまだ実体化していないので、当面)まちづくり関連の
 イベントなどで、ヤドカリカフェに出張してもらうことでコミュニティの
 場づくりで協力しあいたい。


§§その他出た意見等§§

・屋台や移動販売の場所として、昼間使われていない駐車場を利用する方法
 がある。
・野菜農家の人も一緒に例えば敷地の中のけやきの下で、食のイベントをや
 るのはどうか?


*2)ヤシマさんから

・抵抗感というより、ちょっと狭いなと感じているんです。あまり豊かでは
 ないという感じです。
・ヤドカリズムは、「全ての関係性の問い直し」をタテ軸に、「豊かさとは
 何か」をヨコ軸において、「二項対立」のものさしをいったん手放してみ
 るという実験をしているわけです。
・「美味しい」「不味い」
 「正しい」「まちがっている」
 「権力」「反体制」 などなどの様々な対立の図式、パターンをちょっと
 離れて、もっと自由に自分の感覚で選び直してもいいんじゃないか、とい
 う提案をしているのです。
・だから、「団塊世代」「団塊ジュニア」というとらえ方にもちょっと違和
 感が残ります。
・それも結局「ニ項対立」から自由になれていないな、と感じます。
・「団塊世代」の人たちでも、私たちと一致する部分があって一緒にやれて
 いる人たちも大勢いますし、逆に同世代の人たちでも全く理解できないし
 興味もないという人たちもたくさんいます。
・要は、個々人の感覚の違いではないでしょうか。あとは、柔軟性とか常識
 にしばられない好奇心の豊かさとか。



<ヤドカリデリに行った感想>

・経済的な面から見て、決して楽ではない選択でありながら、あえて、小金
 井にこだわって、自分達のペースで『美味しい』ものを作ろうとしている、
 その覚悟に、本来の意味での『イズム』を感じました。
・まさに、ヤドカリズムを生きているというところでしょうか。(H.D)

・経済的には大変。だけど始めるのは先立つものよりも、やる気があるかど
 うかですね。(あたりまえか)
・変なものを食べさせられている今の世の中は、便利、効率という魔法に惑
 わされていて、やっぱり、ヤバイんだろうなあ。(H.N)

・「美味しい」とか「好き」といった個人の感覚を尊重するところから始ま
 る思考には少し違和感も感じられたが、それこそ自然志向=オーガニック
 といえるのだろうか?
・それでも徹底的に好きなことに対し真摯に取り組み身を投じている姿は力
 強く、眩しくさえ見えた。
・身近なる即物的身体的ものを大切にし、身の丈に合ったリアルを実践して
 いく彼女たちは、理想を掲げ世界や社会を語っているよりも遥かに創造性
 ある活動をしているようにも写りました。(M.U)

2002年5月定例会及び臨時定例会のお知らせ                                  (土肥英生)
 
ゴールデンウィークをまち会の皆さんはいかがお過ごしですか。

 さて、5月定例会では、小金井・まちづくりの会の今年のプロジェク
トの柱である、『コミュニティカフェ』を経験する会を開催致します。
 カフェこまち(http://shake-hip.com/komachi/)にも紹介しました
が、思わぬ縁からヤドカリズムというグループ(出張カフェなどを行う
小金井に住む女性グループが作ったグループ。2002年4月に新小金井駅近
くに新しいショップを作った)に出会い、まち会の有志が、3月に話し
を伺い、手作りでできるところから、立ち上げを行っているその取組み
に感銘を受けました。

 そこで、5月定例会では、新しくできた、『ヤドカリデリ』に伺っ
て、コミュニティカフェの動きを実践された話しを聞くとともに、ヤド
カリさんの作る食材を味わい、コミュニティカフェを実際に体験するこ
とを通じて、私達がどんなアクションを興したら良いかを検討する予定
です。是非、ふるって御参加下さい。

 また、5月25日(土)には、まちづくり条例をテーマに臨時定例会
を開催する予定です。三鷹市のまちづくり条例について、三鷹市都市計
画課角間さんのレクチャーとディスカッションを行う予定です。
 こちらにも是非、ふるって御参加下さい。

 5月定例会(『コミュニティカフェ』を経験する)
 ・日時:平成14年5月11日(土)16:00〜18:00
 ・集合場所:ヤドカリデリ 小金井市東町4-7-11
       (西武多摩川線新小金井駅西口徒歩1分)
       TEL:042-384-0883
       
 5月臨時定例会(『まちづくり条例』を考える)
         〜先進都市三鷹市の試みに学ぶ〜
 ・日時:平成14年5月25日(土)14:00〜17:00
 ・場所:小金井第一小学校会議室(校門の反対側の教室)
     (JR中央線武蔵小金井駅南口下車、小金井街道を進み、農工   
      大通りを左折、歩4、5分)

 *お問い合わせ、参加される方は下記までご連絡ください。(当日飛
  び入り参加歓迎)
 ・連絡先:土肥妙子 
  TEL:042-384-5905、FAX:042-304-2422



 2002年04月定例会報告
 2002年03月定例会報告
 2002年02月定例会報告
 2002年01月定例及び臨時例会報告 
 2001年12月定例会報告        
 2001年 4月定例会報告












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